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2019.03.29Buy TOKYO推進プロジェクト活用事例

株式会社 隅田屋商店

創業100年を超える老舗「隅田屋」の屋号を冠した「隅田屋米」は、東京都が"東京産江戸米"として認めたオリジナルブレンド米です。
毎年変わるお米の作柄を考慮しながら、その折々のお米の良い特徴を引き出すために複数のブランド米を厳選、あえてブレンドを行うことで隅田屋にしかできないオリジナルの味を生み出しています。

株式会社 隅田屋商店 株式会社 隅田屋商店

Buy TOKYO推進プロジェクトの支援があったからこそ、海外展開の道が拓けました

株式会社 隅田屋商店
株式会社 隅田屋商店
代表取締役
片山 真一 氏
お米本来の旨みを引き出すために「隅田屋米」を作りました

「『隅田屋米』は東京産っていうけど、どこか郊外の田んぼで作ったお米なの?――そうよく聞かれます。『隅田屋米』は東京で生産されたお米ではなく、当店で厳選した全国各地のブランド米を独自にブレンドし、精米したお米のこと。それを墨田区や東京都に"東京産"と認めていただいているのです」と隅田屋商店の五代目、片山真一さんは胸を張ります。
 なぜ、東京で生産したお米ではないのに"東京産"と認められたのでしょう。
「そのお米が持つ本来の"旨み"を引き出すには、じつは"精米"がとても重要なんです。お米の"旨み"は、玄米の皮の直下にある"ぬか層"が大きく影響しています。消費者の嗜好に合わせて近代的な効率の良い精米機で玄米を白くなるまで精米すると、この旨み成分の"ぬか層"を削ってしまいます。
 一方、当店では昭和20年代に造られた古い精米機を使用し、「循環式古式精米法」にこだわって時間をかけて少しずつ精米をしています。そうすることで、お米本来の旨みや甘い香りを味わうことができるのです」
 加えて、100年を超す隅田屋商店の歴史の中で築き上げてきた産地や業者との幅広いネットワーク、お米を卸してきた料理人たちのこだわりや教えが、隅田屋商店のお米に対する"目利き"の源泉となっています。
「この"目利き"としての経験を活かし、独自にブレンドしたお米を昔ながらの精米法で仕立てる。産地はさまざまですが、精米をしているのはここ東京都墨田区。この発想と道理を認めていただけたからこそ、当店は東京産『隅田屋米』の製造者を名乗れるのです」

隅田屋商店には、多くの"お米難民"が訪ねて来ます

「当店は墨田区の小さな米屋ですが『おいしいお米があるって聞いたのだけど』と、遠方からのお客様がよくいらっしゃいます。スマホを片手に訪ねてくる外国人もたびたびです。そうしたおいしいお米を求めてさまようお客様を、私は"お米難民"と呼ばせていただいています(笑)」
 いま消費者のお米の購入先は、スーパーや量販店、ネット、産直などです。そこでのお米選びの選択基準は主に価格と銘柄でしょう。「それが"お米難民"を生む原因」と片山さんは言います。
「かつてお米は米屋で買うものでした。お客様がどのようなお米が好みか、その年の作柄はどうか、炊き方はこうしたほうがいいなど、店員がいろいろとアドバイスしながら対面販売をしていたものです。
そうした機会を失ったがゆえに、ご飯のおいしさにこだわりを持っている方が"お米難民"になってしまうのです」
 片山さんは、対面販売がままならないデメリットを少しでも解消すべく、消費者に『隅田屋米』の味や香りを体験してもらうために、その本来の旨みを味わっていだくために、「炊飯教室」をさまざまなところで開催しています。
 しかも、国内だけでなく海外にも片山さんの目は向けられていました。
「日本には世界最高のお米があります。炊飯器も世界最高。外国人観光客の日本みやげの電化製品のトップは連続10年炊飯器です。日本のお米に対する外国人の関心は私たちが想像する以上にとても高い。何とか海外で試食販売ができないものかと考えていたときに知ったのが、Buy TOKYO推進プロジェクトでした」

海外でも「炊飯教室」を開き、大好評です

「2017年のこと、『隅田屋米』と炊飯器2台を抱え、まず訪れたのがアメリカ西海岸の日系スーパーでした。Buy TOKYO推進プロジェクトの補助金を活用し、現地で『隅田屋米』の試食販売を行ったのです。
 単なる試食販売だけでなく、カリフォルニア米と日本米の違いやお米の正しい炊き方なども説明させてもらったのですが、これが大好評。店長から「炊飯教室」もぜひ開いてほしいと請われ、またすぐに渡米することになりました」
 片山さんは現在、アメリカ西海岸だけでなく シンガポールや台湾など西アジアも含め、3か月に一度、海外で「炊飯教室」を開催しています。
「2018年秋、こうした実績が評価され、農林水産省から戦略的米輸出事業者の認定も受けました。思いもよらなかった展開の速さに驚いていますが、これまで長年にわたり隅田屋商店が取り組んできたことが認められただけで、私自身のスタンスとしては昔からかわっていません。その意味で大きな自信を与えられ、隅田屋商店の暖簾をさらに磨いていかなければ、と新たな意欲もわいてきました。
 こうした、いわばロケットスタートがきれたのはBuy TOKYO推進プロジェクトの支援があったればこそ。とても感謝しています」
株式会社 隅田屋商店 株式会社 隅田屋商店 株式会社 隅田屋商店 株式会社 隅田屋商店
有限会社 アトリエ・エイト

日本の伝統技術「よせもの」の手法を貫き、クリスタルや人工宝石を使ったブローチ、ネックレスなどのジュエリーを製作する有限会社アトリエ・エイト。
一つひとつのパーツを留める台座を手作業で丁寧にろう付けして形作る「よせもの」ジュエリーは、手仕事の温もりとともに軽やかで繊細な雰囲気をまとった独特の光を放ち、ファンを広げています。
有限会社 アトリエ・エイト 有限会社 アトリエ・エイト

「よせもの」技術から生み出される日本人らしい繊細なアクセサリーが海外でも認められつつあります

有限会社 アトリエ・エイト
有限会社 アトリエ・エイト
代表取締役
髙橋 正明 氏
東日本大震災をきっかけに自社ブランドを立ち上げました

「じつは、いまのように自社ブランドやショップを持つきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災なんです」と髙橋正明さんは、東京・葛飾に工房を構えるアトリエ・エイトとは一見何の関係もなさそうな意外なことを話し始めました。
「ブライダル用のジュエリーやパーティなどハレの場に付けるアクセサリーが当社の製品の主な需要先です。ところが震災後、そうした需要が急激に冷え込み、困り果てていたのです」
 危機感を募らせた髙橋さんは「新たな得意先を探すヒントが何か得られれば」との想いからビジネス交流会に参加し、そこでオリジナルブランドの立ち上げをアドバイスされました。
「それまではOEMだったので、当社はいわば黒子的存在。リスクは伴うものの自社ブランドを持ち、直接お客様とつながることで新たな展開が始まるかもしれないと考えるようになりました」
 早速、髙橋さんは「MASAAKi TAKAHASi」という名のオリジナルブランドを立ち上げました。2012年のことです。
「もとより、私たちが継承する高度な『よせもの』技術から生み出すアクセサリーの品質、商品力には自信があります。その認知度をいかに上げていくか、それが大きな課題であり、自社ブランド立ち上げの動機でした」

さらなる挑戦のためには販売促進が不可欠でした

「MASAAKi TAKAHASi」のブランドを立ち上げると、髙橋さんの願いどおり、環境が徐々に好転し始めました。有名な東京會舘のセレクトショップからの引き合いや、テレビ番組で下町の職人として取り上げられると、それをきっかけにクリスタルガラスの一流メーカーであるスワロフスキー社からパートナーブランドとして認められ、海外でも注目されるなど、追い風が吹き始めたのです。
「2013年には第9回東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞で一次審査を通過し、江戸東京博物館で展示する機会を得られました」100年以上も継承されてきた「よせもの」が伝統的な工芸品であることの認知も上がったと思います。「翌2014年には東京都の都内産品販売活動支援事業の助成金を活用して、ものづくりのアーティストが集まる東京・御徒町の商業施設『2k540』にショップをオープンすることもできました。信じられないほどラッキーが重なり、事業を成長させていくさまざまな可能性が見えてきました」
 こうして『MASAAKi TAKAHASi』のアクセサリーは次第に認知度を上げ、全国の百貨店などで期間限定のPOP UP SHOPを任せてもらうなど、新たな販路も広がっていきました。
「とはいえ、販売量的にはまだまだで、海外への展開などさらなるチャレンジをしていくためには企業体力が足りませんでした。何とか販売促進を図っていかなければならないと考えていたときに知ったのが、『Buy TOKYO推進活動支援事業』でした」

ハンズオン支援により新たな販路を開拓できました

Buy TOKYO推進活動支援事業の特長の一つが、コーディネーター及び専門家によるハンズオン支援です。事業の進捗に応じてコンサルタントを派遣し、ブランディングや販売促進などの具体的なアドバイスやサポートを行うというものです。
「実際、専門家の方に有名なスタイリストを紹介してもらってマスコミでの露出を増やしたり、ブライダルへの積極的な売り込みや大手通販会社へのアプローチなどコンサルタントに同行してもらい販促活動を行ってきました。
そして、それを糸口に自ら商機へとつなげ、たとえば大手通販経路でギフト関係の新たな販路を開拓することができました。幸い好評で、ある程度まとまったボリュームの販売が見込めるので助かっています」

「よせもの」技術の継承

販売促進の一方で髙橋さんが注力しているのが、「よせもの」技術の継承です。現在、ファッションの専門学校で非常勤講師として「よせもの」技術を指導しているほか、ワークショップや講演活動にも熱心で、「よせもの」の認知普及活動に積極的に取り組んでいます。

これからの挑戦

「これからも、日本人らしい繊細な『よせもの』技術を用い、現代的な感覚と自由な発想でジュエリーやアクセサリーの世界に新風を巻き起こしていきたいですね」と熱く語る髙橋さん。アトリエ・エイトの挑戦は、まだ始まったばかりです。
有限会社 アトリエ・エイト 有限会社 アトリエ・エイト 有限会社 アトリエ・エイト 有限会社 アトリエ・エイト
株式会社 片岡屏風店

東京・墨田で3代にわたり、日本で独自の進化を遂げてきた伝統の屏風作りを受け継ぐ片岡屏風店。
古くから風よけや間仕切りとして暮らしを支えてきた日本伝統の室内装飾品は、日本人ならではの美意識に育まれ、和室のみならずさまざまな空間を演出する調度品として、また、芸術作品を引き立てるキャンバスとして、いま新たな注目を集めています。
株式会社 片岡屏風店 株式会社 片岡屏風店

「北斎屏風」を入り口に日本の屏風の奥深い魅力をより多くの方に伝えていきたいです

株式会社 片岡屏風店
株式会社 片岡屏風店
代表取締役
片岡 恭一 氏 (左)
専務取締役
片岡 孝斗 氏


日本で独自の進化を遂げてきた屏風作りの技術を継承しています

「屏風は中国から伝来しましたが、和紙の特性を活かしつつ約1300年前から日本で独自の進化を遂げてきました」と熱く語り始めたのは若き3代目、片岡孝斗さんです。
「たとえば、紙製の蝶番(ちょうつがい)で屏風の木枠同士を強固につなぐ技術は日本特有のものです。また、絵画を貼る際も、紙ごとの特性を見極めて水を打つ量を調整し、ピンと張った状態に仕上げます」
こうした技術により、日本の屏風はとても軽量で、じゃばら状に立てる独特の形をし、しかもその継ぎ目をほとんど感じることなく仕立てられています。そして、風よけや間仕切りとして用いられるなかで、やがて絵画や書などをあしらった装飾品として進化していったのです。
「それを支えてきたのが、屏風作りの伝統技術を継承し、発展させてきた職人たちです」と孝斗さんの口調は熱さを増します。
しかし、生活様式の変化から、屏風の需要は下がり続けてきました。片岡屏風店が東京で唯一の屏風専門店であることからも、その現状がうかがえます。
「日本の屏風作りの優れた伝統技術を広くアピールし、屏風が持つ奥深い魅力を感じていただくにはどうしたらいいか――。そのアイデアをいろいろと練っているときに知ったのが、Buy TOKYO推進プロジェクトでした」

「北斎屏風」をアピールするためにBuy TOKYOの支援を得ました

「屏風に馴染みのない方たちにアピールするため、まず着目したのが葛飾北斎でした。その名作『冨獄三十六景』の絵柄を屏風にあしらうことにしたのです。そして、この『北斎屏風』をより多くの方に見ていただくことで日本の屏風の魅力を再発見していただけたら、と考えました」
 しかし、アピールするためのツールを制作する費用はあなどれません。注目される質の高いPRツールを目指すならば、なおさらです。
「費用の工面やPR手段に悩んでいるときに知ったのがBuy TOKYO推進プロジェクトで、温めていた"江戸の技術が息づく北斎屏風を世界に広める"というコンセプトの思いのたけを申請書に綴りました。幸い、その熱意が通じたのか、東京都から認めていただけました」
 Buy TOKYO推進プロジェクトの支援を受け、孝斗さんがまず1年目に取り組んだのが、葛飾屏風のパンフレット(日本語・英語・中国語・仏語の四か国語)の制作でした。
また、PR動画の制作には特に力を注ぎました。「屏風を写真で見るだけではやはりピンと来ないんですね。映像で見ると説得力があり、屏風の魅力がより伝わります」
この動画は職人の技を伝える屏風作りの解説と北斎解説の2部構成になっていて、片岡屏風店ホームページの「北斎屏風」特設ページで閲覧することができます。
「(BuyTOKYOの支援では) 補助金に加え、コンサルの方からもいろいろとアドバイスを受ける機会を得ました。とても有難かったですね」

国際見本市で海外バイヤーに関心を持っていただきました

支援2年目に取り組んだのは、展示会への出展でした。「これまでも、節句人形用の屏風での展示会への参加はありましたが、片岡屏風店として『北斎屏風』を全面に打ち出した展示会への出展は初めてのことでした」
参加したのは2018年11月に開催された、国内の一流木工家具メーカーやインテリアメーカーが出展する国際見本市「IFFT/インテリアライフリビング」。「小さなスペースでの展示でしたが、きらびやかな『北斎屏風』は注目を集め、おかげさまで大好評でした。海外からのバイヤーの関心も高く、現在、商談が進んでいる案件もあります」と孝斗さんは微笑みます。
孝斗さんのお父様、2代目の片岡恭一さんは、こんなエピソードを披露してくれました。
「私どもの工房の1階は『屏風博物館』と称したギャラリーになっています。この開設を勧めてくださったのは英国のご婦人でした。『こんなすばらしい屏風を展示しない手はないわ』と。外国の方のほうが、何の先入観もなしに日本の屏風の魅力を感じていただけるのかも知れませんね」
 現在、片岡屏風店では結婚式やお祭りなどの「ハレ」の日を演出する昔ながらの金屏風やお節句屏風のほか、お客様がお持ちの着物や帯などを屏風に仕立てるオーダー屏風、画家や書家、写真家など作者の意向を反映しての屏風に仕立てる作品づくりなど、新たな屏風づくりにも積極的に取り組んでいます。
「『北斎屏風』は、いわば私たちにとって名刺のようなもの。それを入り口に、屏風の魅力の奥深さを伝えていくことが使命であると考えています」と孝斗さん。その志は高い。

株式会社 片岡屏風店 株式会社 片岡屏風店 株式会社 片岡屏風店 株式会社 片岡屏風店